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博士の愛した数式 小川洋子


家政婦として働く「私」は、ある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが、17年前に交通事故に遭い、それ以来、80分しか記憶を維持することができなくなったという。数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだった。しかし「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。彼は、息子を笑顔で抱きしめると「ルート」と名づけ、「私」たちもいつしか彼を「博士」と呼ぶようになる。


感想は以下


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amazonのカスタマーレビューが実に興味深い。


「感動した」
「泣いた」
「つまらない」


大体この3種類にわかれ、究極は「わからなかった」という人までいる。


「感動した」
「泣いた」

という人はまだいい。自分の感情に素直だ。


しかし「つまらない」といったほとんどの人が

「期待しすぎて拍子抜けした」
「泣けると思ったのに泣けなかった」

というではないか。


あまりにも「はあ?」である。


感情が全員同じなわけでもなく
読者が泣くために書かれた作品でもない。
勝手な期待を持って、つまらないと評価するのはナンセンスだ。


近頃本を読むのに泣きたいから、と買う人が増えているが
そんな目的のために、手に取られて、本当は評価されるべき物語が
いとも簡単に貶されるのは耐え難いです。


そして「泣ける本」に期待している「泣く感情」。
多くの人がこの度合いを

「号泣」としているような気がする。


果たして全員が全員、号泣するポイントは同じなのか?


そんなの人それぞれでしょうに。
泣きたいから本を読むだなんて、本をばかにしてる。
書き手はずっと泣ける本を意識して書かなければならないのか?
そうではないだろうに。


小川洋子も別に泣ける文章を意識して書いたわけではない。
彼女の文章はいつでもああだからだ。


泣きたい、感動したい、そんな感情をいったんどこかにおいて
冷静な気持ちで本を読んでほしかったなあ。
人間、過剰に期待すればするほど、手に入れたものに失望する確率が
高いと思うのです。



そして、その泣ける本という固定観念のせいで
小川洋子の本当の魅力に気付けないなんてことになったら
大損です。


目だった真新しさや、若さ溢れる躍動感、そんなものは
まったくないですが、彼女の文章に流れるやわらかさやあたたかさは
真似のできないものです。


完成度にあふれた小説を書く作家も、世の中に少なくなってきました。
彼女のような作家は貴重だと思います。


博士の記憶は80分しか持たない。
でもそのデメリットが悲壮感を生み出さない世界は
新鮮でした。


誰かが死んで泣くとか
そんなのばっかりだった今日の切ないといわれる小説たち。


よっぽど泣けましたよ。


涙の理由は、きっと博士に対する愛情からだと思います。
最後のシーンでだらだら、悲しみとも感動ともいえない
不思議な涙が流れました。

電車の中だったので止めたかったのに止まらなくて
嗚咽を出しそうでした。


別に悲しくはなかったのだけれど
博士という人間が私の心の奥底に強く根付いてしまったためだと
思います。


彼の心からの喜びと
ルートの態度が
とても好きでした。
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COMMENTS

きりり : 2007/03/10 2:01 AM
こんにちは
気になってアマゾン見てきたら164人とか感想書いてる人がいましたね さすがに多い でも感動ポイントは人それぞれ すごく違う本だと思いました
私は逆に全く期待してなくて読んだので思いのほか とても良かったです
 : 2007/03/12 11:55 AM
きりりさん

私はそれなりに期待して読んだのですが、それでも物凄くよかったです。頭ごなしにつまらないと言われると、反論したくなるのは悪い癖です(はは)
最近、泣かせよう泣かせようとしてる作品が多いので、微妙な気持ちだったのですが、この本を読んで心があらわれたような気持ちになったものです。でも泣くために読む本ではないなーと思います。
泣きたいならセカチューを読めばいいよと思うのです(泣かなかったけど)
ロク君 : 2008/10/12 12:36 AM
確か中学生の頃に読んだ気がします。初めはそれほどでもなかったのに、気がつけば食事中にも読んでいました。読んだあとの後味の良さ。こんな小説があるんだ、と衝撃を受けた作品でした。あれから小川洋子は読んでいないのですが、いつかまたゆっくり読んでみたいと思います。
 : 2008/10/27 3:16 PM
ロク君さん

ちゅ、中学生…。それはお若いですね…。今でも相当若いと推察いたしますが。最近の作品ですものね。これ。。

小川さんの作品は、書かれているものごとに、直接触れているような生々しい、しかし、悪くない描写が多いので、他の作品もおすすめしますよ。後味のよさなどを考えると、色々限られるかもしれませんが、「ミーナの行進」などは好きな方が多いと思います。





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