そんな、私のようなあんまり日本史とかに疎い…というか
家来の名前を覚えられない人のために、この「酔って候」という本はあるのだと思うのです。
この本には4人の藩主の短編集が収録されています。
幕末に活躍した土佐藩主山内容堂、薩摩藩主の父、島津久光、宇和島藩主伊達宗城、
佐賀藩主鍋島直正の4人です。
前者3名は幕末でものすごーーーく活躍する藩士を出したり、徳川慶喜の将軍擁立に活躍する藩主さんたち。最後の1名は秘密主義で得体の知れない人だけど、ものすごく力のある藩主。
幕末は土佐の坂本竜馬やら、薩摩の西郷隆盛、大久保利通などの人が有名になりすぎて
彼らを率いていた藩主がかすんでいるのです。
そんなかすみきった藩主に光をあてた小説が、「酔って候」です。
実に面白い本で、個人的に大河ドラマをよく見ているので、余計に楽しめました。
表題作の「酔って候」は
山内容堂のお話。
ついこの間放送していた「巧妙が辻」の主人公、山内一豊の子孫。
おお、これが一豊さんの子孫かー…と思いながら読むと、すんなり頭に入ってきます。
ドラマで最後のあたりは藩主として藩をまとめるのに苦労していた一豊さん。
そんな経緯が物語に絡んでいて、なるほどねーだから藩が二分されるのねー…
なんて感慨深いのでした。
また先日まで読んでいた「最後の将軍−徳川慶喜−」ですが
松平慶永さんは頻繁に出てくるので、どのような人か把握しやすかったんだけれど
幕末の4堅候の1人、山内容堂という人がどんな人なのか全く把握できず
読み終わったという経緯があるため、これを読んで、へええ…とうならせてもらいました。
こっちを読んでから、「最後の将軍−徳川慶喜−」を読むと、「ふふふ」と笑いながら
読めるに違いないです…!
「きつね馬」
島津久光のお話。
「篤姫」では山口祐一郎さんが演じていました、彼です。
西郷隆盛や大久保利通など明治維新に向けて活躍した人を輩出した
藩の藩主の父…。兄の島津斉彬さんは300年に1人といわれるほどの優れた藩主でした。
そんな兄を持つ弟の久光さんの性格や、振る舞いなどがわかりやすく文章になっています。
「篤姫」で見慣れている分、親しみやすく、理解しやすい短編でした。
しかし…お坊ちゃまはやっぱり政治に向かないということなのでしょうか…。
「伊達の黒船」
4堅候の1人の伊達宗城さんのお話も。
この人、もしかしなくても伊達政宗の末裔なんですよね。養子だから血こそ薄けれど。
そんな裏側を知れるだけでもとても面白い。
彼の人となりはそれほど多く出てきませんが、彼の統治していた宇和島藩の様子は
よくわかり、なかなか面白い小編でした。
そして最後
「肥前の妖怪」
肥前佐賀藩藩主の鍋島直正さんのお話。
個人的にはこの作品が一番面白かったですね。
私の生まれ育ちが佐賀で、お城のすぐ近くに住んでいたので
身近なお殿様だったのです。
でも自分の生まれ育ったところのお殿様なのに、何も知らなくて
この小説を読みながら色んなことを学びました。
佐賀が秘密主義で保守的なのは二重鎖国で葉隠れゆえかー
とか
あのお堀から水をくみ上げてたんだー…とか
幕末にほんの少ししか顔を出さない佐賀藩が、実は強大な力を持っていたことや
鍋島直正さんがかなりの切れ者で、島津斉彬に並ぶといわれていることなど
自分の故郷のお殿様が、賢くてエライ人だったのだと知れて
なかなか楽しい読書でした。
しばらく幕末にはまりそうです。
次は…「アームストロング砲」か「竜馬がゆく」が読みたいなあ。
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