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失われた町 三崎亜記

評価:
三崎 亜記
集英社
¥ 1,680
30年に一度起こる町の「消滅」。忽然と「失われる」住民たち。喪失を抱えて「日常」を生きる残された人々の悲しみ、そして願いとは。大切な誰かを失った者。帰るべき場所を失った者。「消滅」によって人生を狂わされた人々が、運命に導かれるように「失われた町」月ケ瀬に集う。消滅を食い止めることはできるのか?悲しみを乗り越えることはできるのか?時を超えた人と人のつながりを描く、最新長編900枚。


兎に角内容が多すぎる感満載。

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30年に1度起こる町の消滅。町に住む人々は、町の消滅を誰かに伝えることも、そこから出て行くことも、逃げ出すことも、悲しむことさえ赦されない。忽然と消えて人の姿だけが町から消える。

町は意志を持ち、立ち入るものを汚染し、意識を奪いさる。

と、まあ、人が消えちゃうし、町に逆らえないっていう設定なのです。
で、です、そんな中にも耐性を持つ人間ってのが存在するわけですよ。
それは、町の消滅にもかかわらず、何故か消滅を逃れた人々なわけです。

町からの干渉にも耐えられ、意識を持っていかれにくい人間がいてですね
その人間が管理局で実験台にされて、まあ、町の消滅を防ぐことに役立てられるとかいう
そういう設定。

まず、この本を開いて、ここまでの設定を理解するのに苦労しました。
プロローグで、数字とか6号とか、意味不明の組織とか出てきて
とりあえず、町が何かあるわけね?とかいう、よくわからないものを突きつけられるのですよね。

で、この話は何を言ってるのだろう?って考えつつ読んでいると
別体とか本体とかあっちの彼が汚染されたとか、わけわからないことを言い出すのです。

ふむふむと理解した瞬間に、新しい章が始まり、登場人物が若返ったりして
どこの年代に落ち着けばよいのか、迷います。

とまあ、そんな感じで心の置き所のない小説でした。

読んでいて、悪くはないのですよ。ひとつひとつのエピソードはよくできているのです。
茜と和宏の出会いや、白瀬さんと脇坂さんのエピソード、勇治と由佳のエピソード、ひとつひとつは理解できるし、悪くないのです。でも、そのつながりとする部分、たとえば町の消滅、脇坂のいた西域についての話、別体、本体、分離というキーワードとなんだか、読者が把握しなければならない事象が多すぎて、脳みその整理に忙しくなってしまう気がしました。

ストーリーの時代の流れを整理すると大体以下のような感じになります。
見てもお分かりの通り、年代が行き来しているので非常に把握しにくい。

1.推定45歳の由佳、推定30歳くらいのひびき(姉)、55歳の茜、57歳の和宏のお話
2.25歳の茜、27歳の和宏、15歳(16歳)の由佳の話
3.推定30代前半の白瀬桂子、30代後半の脇坂のお話
4.25歳の茜、27歳の和宏、3歳ののぞみ、30代の白瀬桂子のお話
5.29歳の茜、30歳の和宏、推定30代半ばの英明、30代後半の白瀬桂子のお話
6.推定33歳〜35歳の白瀬桂子のお話
7.15歳〜21歳の勇治と由佳、推定30代後半白瀬桂子、30代後半〜40代前半の脇坂
  9歳ののぞみのお話
8.16歳ののぞみ、13歳、11歳くらいのひびき、推定40代後半の英明、28歳の勇治と由   佳、38歳の茜、40歳の和宏、推定40代後半の白瀬桂子のお話
9.15歳の由佳、潤、推定31〜33歳の白瀬桂子、推定50代の統監のお話

主要な登場人物は以下の通り


和宏
白瀬桂子
脇坂
坂上由佳
横山勇治(長倉勇治)
のぞみ

英明
ひびき(本体+別体)
統監
中西
園田
信也

とまあ、こんなものですか。
関係性を書いたほうがわかりやすいんだけど、
もう力尽きたのでまた別の機会に(という名のやってこない機会)

ここまで読まれた方はおわかりかと思いますが(しつこいようですが)
把握するのが大変です。

この、バラバラの年代に加えて多くの登場人物
それにさらに、まだまだ把握することがあるのです。

大きくは以下です。

1.失われる町の仕組みについて
2.世界そのもの。西域の存在、人種、言葉の違い
3.分離体という概念

この小説の厄介なところは以上にあげた3つの点を理解して読まなければならないところだと私は思います。若干いろんなものを詰め込んでしまって、消化できていない感がするのは、このためだと思われます。

失われる町の仕組み自体には何ら問題はないと考えられます。ですので、これはおいておくとして、まず「西域」という問題。この「西域」というのは白瀬桂子と脇坂のエピソードでいきなり登場します。それまで、西域という概念、もしくは存在を知らされていなかった読者は一瞬何が起こったのかわからず、あまり理解も出来ぬまま読み進めることを強いられます。その西域というのがどんなもので、どういう人物がいて、という基本的な情報がかけており、とにかく異国みたいなもんだ、ということしかわからないようになっています。たびたび「西域特有のイントネーション」などという表現が出てきて、そこで無理やり「そんなもんなんだ」と納得しなければならいことが多々あります。

次に「分離体」という概念について。
現在でも多重人格障害などといった言葉が存在しますが、この人格を現実に分離して二人の人間としてしまう、ということのようです。体も二つあり、それぞれが別の暮らしを歩むことすらできます。ただ、分離体である以上、元はひとつということで、片方が死ねば、もう片方もいなくなる、ということだそうです。

小説内の登場人物でいうと、ひびきとその母親が分離体にあたります。

こんなに沢山情報を理解するのは1度の読書では難しいのかなあと思われます。
また、多分、どんな人でも1回読んで、また最初のページを読み直すと思います。

時系列がバラバラで、最初のところで実はクライマックスを迎えていたりするので
読み直すのですよね。

これを読んでいて思ったのは、この作家は悪くないけど、エピソードの始末が悪いなあということでした。ひとつひとつは悪くないのに、なぜだか、納得できない箇所が多々ある、という具合でしょうか。

西域や分離といった概念は、この本の内容に含まれなくてもきっと滞りなく展開できたと思いますし、そのほうが読者の混乱を招かずにすんだように思います。

また、「どうして町が失われていくのか?」「なぜ、30年単位なのか?」という問題が処理されていないのも気になります。何が原因なの?という根本的謎が解明されないまま、というのは、どうにも心地が良いものとは言えないです。

それから登場人物の描写の仕方にも気になるところが多々ありました。
例えば茜の場合は「茜」と記述するのに大して白瀬桂子の場合は「桂子さん」「桂子」と「さん」がついたりつかなかったりしていました。なぜ「桂子さん」としていたのか、そこが謎です。何か理由があるのであれば、私が読解できていないだけだと思うのですが、お分かりの方がいらっしゃいましたらご一報お待ちしております。

また最初のプロローグに勇治が出てこないことも気になるところですね。
なかなか都合の良い男として終わってしまっている彼が哀れで仕方ありません。
良いやつなのに。

と、なんだか不完全燃焼満載のお話でした。
となり町戦争」が軽すぎたのに比べ、「失われた町」は重すぎて、理解しにくくなっているような印象を受けます。中間をとるということを、考えていただければ、今後より面白い作品が出てくるのではないでしょうか。設定などはとても面白いので、出来ればきちんと消化できている作品が読みたいものです。

三崎亜記 町シリーズ読了本(シリーズなのか知りませんが)
となり町戦争
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COMMENTS

藍色 : 2010/08/06 5:47 PM
なんだか、心の中にジーンと残るお話でした。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。





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- : 2010/08/06 5:23 PM
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